ソフトウェアのコモディティ化を防ぐデザインの力

私は、これからのシステムの受託開発業において、デザイン的な要素が必要だと考えています。
私の言う、デザイン的な要素とは、
・デザインにおけるものづくりのプロセス
・デザインにおける思考や発想法
・デザインにおけるユーザーの体験志向
などをさします。

こうした要素の1つ1つがいったいどのようなモノなのか、という言及は今回は避けます。
今回は、こうしたデザインが志向する価値観がどうしてシステムの受託開発に必要だと考えられるのか、について書いてみたいと思います。

システムの受託開発において、デザイン的な要素が必要である理由、それはソフトウェアがコモディティ化されているからです。
たとえば、私はwebの無料サービスで家計簿をつけています。
また、レコーディンダイエットでも無料のwebサービスを使用しています。
一昔前であれば、無料で使用できなかったようなサービスが、web上ではすでに無料で提供されています。

また、salesforce.comが代表するようなクラウドのSaaSと呼ばれるサービスも、ソフトウェアによるサービスのコモディティ化を推し進めています。
SaaSとよばれるサービスでは、たとえば、簡単な勤怠管理システムや社員情報の管理、または顧客情報の管理などのシステムは、すでに利用可能な状態で用意されています。
これまで、ユーザーは、使用したい機能を自社で内製できない場合は、アプリケーションという単位で業者に発注し、その機能を使っていました。
しかし、SaaSと呼ばれるクラウドサービスでは、本当に必要な機能をサービスという単位で手に入れることができるようになりました。
たとえば、社員情報が管理したければ、アプリケーションをつくるような手間を掛けず、すでにあるサービスを利用できるようになったのです。

くわえて、いままでアプリケーション単位でサービスを享受しようとすると、そのアプリケーションを動かせるリソースをユーザーはみずから用意しなければなりませんでした。
これは初期費用が非常に高く、また、そのメンテナンスが必要なことから、場所、電気代など維持費も高くつきます。
さらにメンテナンスを自社で行えない場合は、外部に委託しなければならず、人件費もかかるのです。

受託開発会社は、そのユーザーのリソースやサービスの維持を、保守業務という形態で請け負うことで安定的な収益を確保してきました。
保守業務は、受託開発を行う会社にとって、ストックビジネス、として扱われてきました。
そのため、システムの受託開発は、ネットワークやハードウェアなど、俗にインフラ周りといわれる知識をもつことが重要であり、その知識が付加価値となっていました。
しかし、クラウドサービスでは、とくにインフラ周りといわれる業務は、クラウドサービスを提供する業者の仕事になります。
こうした点からも、システムの受託開発をしていた会社の持っていた価値は、失われてしまうのです。
このようにアプリケーション、およびシステムの受託開発における価値がコモディティ化されてゆく中で、システムの受託開発はどのような付加価値を提供するべきでしょうか。
私が考える最良の付加価値は、

ユーザーが抱える問題を発見し、解決する

ということです。
受託開発において、よく言われ、肝にも命じなければならないことは、

ユーザーは往々にして自らの要求を理解していない

という事実です。
こうした状況に対応するためには、よく言われるたとえですが、ドリルを欲しがっている人はドリルを欲しがっているのではなく、ドリルで開ける穴が欲しいのだ、という考え方が必要なのです。
こうした考えに対応するプロセスをもっているのが、デザイン、という要素なのです。

つまり、ユーザーが「勤怠管理システムが欲しい」といったとして、本当にそのアプリケーションを開発し、提供することは依頼した顧客の利益なるかは不明です。
上述したように簡単な勤怠管理システムなら、SaaSとして提供されているものがありますし、管理項目がすくないのであればエクセルで十分、ということもありえます。
また、自社特有の業務について、コストダウンを図るためのシステム化を考えている顧客の要望が、実はシステム化することで他の業務が煩雑化することもありえます。
システムにより業務を自動化して効率を図ろうとする顧客の要望が、実は他の業務がボトルネックとなっているため他の業務をシステム化したほうがより有効な場合もありえます。

このように、ユーザーなど本当に問題意識を持って解決に当たっているにもかかわらず、その方向がユーザー自身で理解できていなという場合は、少なくないでしょう。
そして、こうしたユーザーの状況を解決すること、解決の手助けをすることが、システムの受託開発の大きな付加価値であることは間違いありません。
すくなからず、この価値は、「今後」ではなく、「すでに」、そして、「常に」ユーザーから求められてきたものであるはずです。
私がデザインがシステム開発に必要である、と考えるのは、この点についてです。
すなわち、ユーザーの課題を掘り起こし、整理し、解決する、という点にこそデザインの力、思考が必要であると考えています。

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