顧客価値にたいする見積りの意義

顧客価値とはなんでしょうか。
また、顧客価値をどのように知ることができるでしょうか。
本当にお客様の役に立っている、という状態はどのような状態でしょうか。
これらを突き詰めて考えると、意外と答えることが難しいことに気づきます。
たとえば、「満足した!」とお客様に言ってもらえれば嬉しいですが、それが事実であるかはやはりわからないでしょう。
顧客価値のあるプロダクトを創り上げる、というのは、ある種の観念論であり、

これだけのことをやったから価値のあるものを届けたはずだ

という信念に基づくものではないかと、私は思っています。
では、自信をもって「顧客価値の高い仕事ができた」というには、どのようにすればよいでしょう。
そのためにはむしろ、顧客価値の高い仕事を定義するのではなく、反対の状態について考えてみるのも、良い方法かもしれません。
すなわち、どのようなことを行うと顧客価値を損ない、お客様から信頼を失うことになるのか、ということです。
アンチパターンと言って良いかわかりませんが、それらの行為を避けることで、「顧客価値を高める」ことはできなくても、下がることを防ぐことができるはずです。

お客様の信頼を失い、顧客価値を下げるような行為や状態は以下のようなものが考えられます。

・ストーリーが終わらない事態が頻発
・顧客が価値の高いと思っているストーリーが終わらない
・ストーリーが完了して出荷可能なはずものが出荷できない

こうしたことが起こる原因は様々考えられるのですが、防ぐ手段というのはあるのでしょうか。

防ぐ手段の1つとしては、しっかりと見積りを行う、ことが挙げられます。

ストーリーにたいする見積りが甘いと、チームはお客様、Scrumでいうプロダクトオーナーとの約束を果たすことできなくなります。
特に「今回のイテレーションでは~までやります!」と宣言していたにもかかわらず、終わらなかった、という状態はお客様に不信感を抱かせます。
まだそれが、時々であればまだましなのですが、頻発するとお客様からの信頼は地に堕ちるでしょう。
なにより、恐ろしいのは、開発チーム自身がその状態に危機感をいだきながらも慣れてしまうことです。
コミットが守れないことが常態化すると、その状態をマズイなと思いながらも、抜け出すための行動をとらないことになってしまうのです。

では、しっかりと見積りを行う、というのはどのようなことを指すのでしょうか。
この観点の一つとして、精度の高い見積りを行なうこと、が挙げられます。

通常、見積りは人工(にんく)でもなければ、時間でもない単位であるポイントで行われます。
そのため、「正確に」という意識が働きづらいかもしれません。
なんとなくの感覚でポイントを出したり、特に知識のない領域にたいしては詳しい人の意見にあわせてしまったり、という根拠なく見積りをおこなってしまいがちです。

しかしながら、見積り時に「正確さ」を意識することは重要です。
知識がない、という点については、メンバー全員がもっていないのであれば仕方ないですが、詳しいメンバーがチームにいるのであれば理解、納得できずに簡単に同意するのは危険です。
というのは、正確な見積りの恩恵は作業量が正確に予測することに加え、仕様の詳細を洗い出すことだからです。

見積りという作業が予測である以上、当たるほうが良いことは言うまでもありません。
が、正確に見積もろうすれば、「このストーリーではいったい何をしなければならないのだろう」という問が無意識のうちに頭のなかで起こります。
この疑問に大きな価値があるのです。

「何をしなければわからない」、「どれだけの作業量があるか」「どのような専門知識が必要か」ということがわからなければ、そのストーリーの大きさはわかりません。
そして、もしもこの点を放置してしまうとその見積りは著しく精度を欠きます。
また、やるべきことが明確でないので、「なにが起こるかわからない」という意識から、お客様へのコミットに自信を持つことができないのです。

こうした理由から疑問は生じるのですが、生じた疑問はお客様の要望を洗い出し、開発チームと意識をあわせることにも役立つのです。
というのは、この疑問から「どのストーリーを達成するべきか」「どのようにストーリーを達成するのか」という具体的な方法へ思考が向かいます。
この過程に、お客様が「本当に何を望んでいるのか」が具体的になる機会があるのです。
抽象的な思いが現実に向かって具体化されるとき、必ず「制約」が現れます。
この「制約」こそが、お客様の思いと思考を「なにをすべきか」から「なにができるか」へ向かわせます。
そして、「なにができるか」という問いが、お客様と開発チームの双方で起こることこそが、思いを具体化するきっかけとなるのです。

見積りを通じてストーリーをタスクに落としこむときに、お客様も開発チームも、新たに「実現可能な価値」を問うことができるようになるのです。
そして、そのストーリーの価値について真剣に悩むことができるのです。
このため、どのストーリーの優先順位が高く、そのイテレーションではどのストーリーを行なうか、を決めるときにはもちろん、そのストーリーの見積りを行う際には、なるべくお客様の近くにいて話が聞ける状態でないといけません。

しっかりと見積りを行なう、という行為には、予測、という目的があります。
そして、その予測という行為のなかには、来るべき未来の行動の洗い出しがあります。
この点において、「どのようにストーリーを実現化するのか」という問いが発生します。
この問いこそが、じつはお客様との会話を発生させ、雲と掴むがごとき存在の「顧客価値」について考える機会であり、お客様と認識を合わせる機会でもあるのです。

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コメント / トラックバック1件 to “顧客価値にたいする見積りの意義”

  1. ん? Says:

    顧客価値と正確な見積もりの意義は理解しましたが当たり前。正確な見積もりはどうすれば作れますか?規模ですか?人月?ポイントとはFPのこと?それが正確!妥当とする根拠は?

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