電子書籍の話を聞いてきたのでメモをする

 ふたたび電子書籍に関するお話を聞く気かを得たので、その際に特に「意外だな」と感じた点をまとめようと思います。

 紙の本にこだわりがない
 アメリカでは車通勤が多いためオーディオ・ブックという「本を聴く」という習慣があります。
 また、階級社会である欧州ではそもそも本屋がなく書籍が気軽に買えない地域もあるようです。
 そのため、電子書籍が登場した際にも、あらたに対応すべき媒体が登場した、と感覚が強いといいます。
 ようするに、新たな消費スタイルへの対応、という感覚なのでしょう。

 過去、数度の書籍の電子化の波があったと言われますが、一番大きな違いは良質なネットワークでしょう。
 最新のKindleの3G対応モデルでは3Gのネットワークがタダで利用でき、ネットワークさえつながれば「いつでも、どこでも」本を購入し、読めるようになっています。
 良質なネットワークに支えられる利便性は、本が電子されるメリットの1つです。

 こうした利便性を日本ではなかなか感じることはないかもしれません。
 日本では至る所で書籍が販売されています。
 キオスク、駅ビル、スーパー、百貨店など、「駅前」など商業施設がならぶ場所にはからなず本が販売されています。

 首都圏などの都市部にいると、本が好きな人なら「ちょっと時間が空いたら本屋で暇つぶし」というのが普通の行為です。
 しかし、日本でも気軽に欲しい本が買えないという地域も存在するでしょう。

 電子化されコンテンツが流通される姿を変えると、こうした今は見えていない読者、消費者を掘り起こすきっかけになるかもしれません。

 取次の売上情報を多く握っている
 書籍が電子化され、流通が変わると中抜きされる筆頭は、取次だと私は考えていました。
 しかし、どうやらこの考え方は間違っていました。
 出版業において取次は、とてもおおきな存在のようです。
 
 そのひとつの要因は、取次が「どの本が、いくら売れたか」という売上情報をたくさん持っているということです。
 どのような本がいくら売れたのか、という情報は出版社がしっかり握っているのだと思っていましたが、そのようなことはないようです。

 現状ではこうした情報は取次が一手に握っており、出版社まで正確な情報が下りてくるのは稀のようです。
 また、取次がそのような情報に基づいて「こんな本を作りませんか?」という提案もないようです。

 取次が、書籍の実売情報に基づいて、企画、提案をするような存在になるとしたら、取次もまたコンテンツの作り手として、電子書籍の世界でも存在感を持つことになるかもしれません。

 出版社はコンテンツの保持者ではない
 電子化されても結局は「コンテンツの質がよければ売れる」と言い切って良い部分があります。
 電子化されればコンテンツがコピーされるおそれはありますが、コピーするより買うほうが楽な仕掛けを作れてしまえば、なんとかなる、という考え方が商品を売る側にはあります。

 ですので、消費者が「このコンテンツならこれだけ払ってもいいな」と感じる質のコンテンツがあれば商売は成り立つと考えられます。

 出版の外側にいる私からすれば、そのコンテンツを一番持っているのは出版社である、と考えていました。
 が、どうやら出版社の方には、その意識はないようです。
 コンテンツはあくまでも、作家にある、と考えているようです。
 そして、出版社は校閲や編集、マーケティングや広告などをコンテンツを持っている作家に提供している存在だと、考えているようです。
 出版社がコンテンツを握っている、と考えていない以上、電子化は不安のタネでしょう。

 たしかに、どのような、作家であろうとも「編集」という作業自体を1人でやろうと思わないでしょう。
 また、編集者というパートナーの存在をいらない、とは考えないでしょう。
 出版するという作業は、1人でやるには重すぎるのです。

 が、この編集を頼み、共に働くパートナーは、なにも既存の出版社や編集者でなくて構わない、という流れが出てくることも予想できます。
 とくに、法律上はたとえ紙の本で出版されていても、同じ作品を電子書籍として出版可能になっています。
 コンテンツの作り手がこうした権利を行使してもおかしくはないわけです。
 
 すでに言い古されていることですが、書籍の電子化により、コンテンツを作り手、コンテンツを持つものが力を持ち始めると同時に、力を持ったプレイヤーたちが市場を作ってゆくかもしれません。

 以上が、おはなしを聞きつつ、つらつらと考えたことです。
 取次、というプレイヤーがどのように電子化の流れに関わってくるのか、というところに個人的に面白みがあるように感じています。

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