10を維持するエンジニアの偉大さを再確認する

ソフトウェア開発は、0(ゼロ)から1(イチ)を生み出す仕事、そして、もうひとつは1を10(ジュウ)にする仕事により成り立っている。

0から1にすることも、1を10にすることも、それぞれに優劣はない。
1から10にする仕事は、1のものがないと意味を成さない、という指摘は正しい。
ただ、0から生み出された1のままであれば、そのものにも価値はない。

ソフトウェア開発は、ドキュメントか頭の中にあるかは別として、仕様や発想に基づいたプログラムを創りだす行為だ。
それは、無から有を生み出す神にはかなわないものの、創造といってよい、0から1を生み出す行為だ。

しかし、創りだされたままのプログラムは大抵、不具合を含み、未完成だ。
だから、テストやデバックや顧客からのフィードバックを通じて、1を10にしてゆく、品質を磨き上げる作業が必要になる。

僕は、自らをアーキテクトと名乗ろうが、プログラマと名乗ろうが、テスターと名乗ろうが、エンジニアと名乗ろうが、「価値あるものを生み出すこと」に矜持を感じる人びとをエンジニアだと思ってきた。

しかし、それは間違いだった。

生み出されたサービスが稼動し続けること、10を維持することに矜持を感じ、働いているエンジニアもまた多くいるのだ。

2011/03/11、宮城や長野を中心として、大きな地震が日本を襲った。
地震の揺れは、生まれて30年近くたつ僕にとって初めて経験する大きなものだった。

はじめて、職場から家に帰るために十数キロの距離を歩いた。
震源地の近くの方々に比べれば微々たるものだが、僕も、被災者だった。
初めて被災経験だった。

5,6時間ほどの一人きりの帰途では、孤独と不安に襲われた。
「どのような経路でかえればいいのか」「電車やバスは動いているのか」「ほかの人たちはどうしているのか」など、さまざまな考えが頭をめぐった。

そんな僕の孤独や不安を解消してくれたのは、ネットだった。
GoogleMapとかTwitterとかさまざまなネット上のサービスが、僕を救ってくれた。

道が分からなくなったらGoogleMapで調べ、交通情報や誰がどうなっているか知りたかったらTwitterで調べた。

また、電話が通じなくても、メールをすれば親や兄に連絡をとることができた。
有事に際して僕は普段とかわらぬサービスを享受することができた。

有事に際して、普段と変わらぬサービスを提供することは、大変難しい。

しかし、多くのネットの上のサービスはそれをやりきった。
それを支えたのは、「運用」と称される仕事に携わるエンジニアたちだ。

運用という仕事は、厳しい。
普段からストレスなくサービスを提供することが普通で、何かあれば文句を言われる。

場合にはよっては、24時間そのサービスが稼働することを求められる。
そして、その仕事をやりきったとしても当たり前のことと受け取られ、その行為には喝采が浴びせられることは少ない。

エンジニアをやっていれば、多少は運用の凄さと辛さは分かる。
ただ、多少分かるだけ、に過ぎない。

普段、不満も不安も感じずに、サービスを享受し過ごせているのは、多くの「運用」に携わる人びとのおかげだ。
彼らは、僕を始めとした多くの人びとに安心を提供し続けているのだ。

とくに福島第一原子力発電所の一件に関わっているエンジニアには、感謝を表現する言葉が見つからない。

テレビから流れてくる事態の変化を見守りながら、彼らが守っている日常の大切さ、そして、その日常を取り戻すことの難しさを痛感させられた。

こんなことを考えさせられているのは、僕が普段、運用や原発そのものに無関心である証拠だ。
そして、非常事態に直面して謙虚になり、感傷的になっているからこそ、こんな反省をしている。

この気持ちは日常生活を取り戻してしまえば、忘れてしまうだろう。

だからこそ、感謝の気持ちをブログを書いておく。

普段、人びとには評価されづらくても、ただただ平穏を守り続けるという矜持がある。

日常生活の守護者たる、彼らの矜持と仕事に敬意を評したい。

感謝。

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