Archive for 2012年9月

物語の外側の気になること@『最強のふたり』

9月 17, 2012

ふたりのうちのひとり。
大富豪の老人、フィリップ。

フィリップはパラグライダーの事故で首から下が全く自由が利かな体になったのだけれど、単身で事故にあったのだろうか。
パラグライダーのシーンでは、彼はインストラクターと一緒に飛んでいたのだけれど、それは体の自由が利かなくなったためなのだろうか。

もしも、フィリップが事故にあった時もインストラクターと一緒に飛んでいたとしたら、そのインストラクターはどうなったのだろうか。
一人は首から下が不髄になるほどの事故だ。
インストラクターも無事であるとは思えない。相当な大怪我をおったかもしれない。
再び空を飛ぶことが恐ろしくなってしまったかもしれない。
事故の責任を取らされて失職してしまったかもしれない。

フィリップの事故に巻き込まれたインストラクターが本当にいたとしたら、ドリスに出会って彼が救われたように、インストラクターにも救われてほしいものだ。
本当にいたらだけど。

ふたりのうちのもうひとり。
黒人移民の子、ドリス。
彼はフィリップはどこで打ち解けたのだろう。
移民の黒人の子と首から下が不髄の大富豪の老人、両者を結びつけたものは一体何だったのだろう。

貧乏と自由にならない体という弱点をお互いに持っている。
そうした弱点をもつ苦労を互いに認めあったり、慰めあったりする場面はあった。
ただ、お互いが自分の弱点についての事実や気持ちを率直に話すのは、すでに心をひらいているからだ。

その前の心を開くきっかけは何だったんだろう。
なにかドラマがあることを期待するけど、一方で、ドラマがあったというわけでもないというものわかる気がする。
毎日の一緒に居つづけることこそが、お互いの心を近づけたという方が説得力がある。

ただ、ドリスがその時まで全く関わりなかった大富豪の家にとどまり続け、介護の仕事を続けられたのはなぜだろうか。
自らが抱えていた貧困を解消したいという動機だろうか。
映画の随所で見られた性根の明るさと優しさゆえだろうか。

その動機はドリスだけの秘密。フィリップも知らないことなのかもしれない。
もしかしたら、ドリス自身にもわからないことなのかもしれない。

最強のふたり』という映画は実話を元にしている。
だから、ちょっとだけ映画では語られなかった外側の現実がきになった。