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デブサミでクラウドのシャワーを浴びてきた

2月 21, 2010


2010/2/18(木)に「デベロッパーズ サミット 2010」に参加してきました。
本来は、19日(金)もふくめて2日間のイベントなのですが、私は1日目のみ参加してきました。

主に、クラウドの話を中心に聞き続け、

・クラウドは現代のトレンドを指し示す言葉である
・クラウドとアジャイル開発の親和性は高い

という学びを得て帰ってきました。

ちなみに、当日、コミュニティ「すくすくスクラム」さんのブースに行くと、ロゴシールをいただきました。
ありがとうござました!

◆パラソルワード「クラウド」の正体
「クラウドとは何でしょうか」このように問われて、「これです」と指し示せる人は現在はいらっしゃらないでしょう。
そのように多数と意味、使用方法があるのが「クラウド」という言葉です。
株式会社テックバイザージェイピーの栗原さんは講演のなかで、クラウドの定義について、3つのカテゴリーに分けて説明されています。

・広義のクラウド:データセンター、アウトソーシング全般
・一般的なクラウド:IaaS、PaaS、SaaS
・狭義のクラウド:大規模水平スケーリングに基づくIaaS、PaaS、SaaS

こうした説明をうけると多少おぼろげだった像の輪郭が少しははっきりします。
栗原さんもおっしゃっていましたが、クラウドというものを語るとき、「今、どのクラウドについて語ろうとしているのか」という点を明確にする必要があるのです。

栗原さんが講演のなかで、提示された「クラウド」の姿は、現在のシステム業界、IT業界全体に起こっている4つの流れの総称としてのものです。
システムの技術的な要素、そして、システムを用いて提供されるサービスやビジネス的な要素をうまく取り入れた「クラウド像」は、クラウドの勉強を始めたばかりの私にとって、とてもわかりやすく腑に落ちるものでした。
講演のなかで示された4つの流れ、すなわち、4つのメガトレンドは、

・所有から利用
・サーバー中心型コンピューティング
・データセンター集約
・選択と集中

というものです。

大規模なデータセンターを所有するのではなく、利用する。そして、利用した分だけ料金を払う。
クライアントリッチなシステムではなく、ネットワークを通じてサーバーに接続してアプリケーションやサービスを利用する。
複数の場所にデータセンターを持つのではなく、可能な限り集約した大規模データーセンターを運用し、コストダウンを図る。
多角的なサービス展開ではなく、単一のサービスや事業へ資本を集中させる。

こうした、現在のビジネスの流れとそれを実現するITの技術やサービスが「クラウド」と呼ばれるものなのです。
たしかに、経済新聞を眺めていても、Yahoo!など閲覧できるネットのニュースを見ていても、上記の4つの流れを感じることができます。
また、まぬけな表現ですが、4つの流れを俯瞰してみていると「クラウドっぽい」イメージがあります。ようするに、現実、「クラウド」というときにほとんどの人が漠然と「こんなものかな」と考えているところをうまく抑えた言葉のように思います。

さらに面白いのは、クラウドというものいったい何をもたらそうとしているのか、という点についての栗原さんの指摘です。
それは、

すでに進行中の事態を加速させる

という事態をもたらす、という指摘です。
既存に起きている事態とは、

・インフラの保守で継続的な利益を上げるビジネスモデルの崩壊
・ハードウェアを抱き合わせた箱売りビジネスの縮小
・小規模SIerや「ノマド」ワーカーの増殖
・オフショアの激化

というものです。

インフラ保守やハードウェアの抱き合わせ販売は、現在でも、顧客の経済環境が悪化しているため、顧客の中でも「すべて自社の資産として情報サービスを維持しよう」という意識は薄れつつあります。
それが、クラウドにより、Amazon、Google、Microsoft、salesforceなどの大企業によりそれらのドメインが奪われてしまえば、そのようなビジネスが早晩、厳しくなることが伺えます。

また、小規模SIerや「ノマド」ワーカーの増殖、オフショアの激化という点は、クラウドの姿のひとつ、「どこでもつながるコンピューターとサービス」により徐々に進行しつつあります。
「ノマド」ワーカーという言葉は、オフィスを持たずに仕事をする人たちを指します。
もっと具体的にいうと、無料のWeb上のサービスやネットワークインフラをうまく利用しながら仕事をしている人たちです。
会社に所属する、しないにかかわらず、定まった場所と時間で仕事をせずに、効率よく自分で時間や場所をハンドリングして成果を出そう、という働き方は、徐々に増えつつあるようです。
たとえば、下で紹介するアピリオさんがエコポイントシステムを開発した際にも、各々の開発者が自宅で開発を進めた、という話もお聞きできました。
こうした今、兆しが見えつつある新しい流れを主流にまで押し上げてくる力になるなるであろうものが、「クラウド」なのです。

栗原さんの講演は、私のようなクラウドを勉強し始めたばかりの人間にとって、とてもわかりやすく、面白いものでした。
「クラウド」の概要とビジネス的、技術的にちょっと詳細に踏み込んだ内容は、まさに私が聞きたかった点がおさえられていて、とても勉強になりました。

栗原さんが講演で使用されたスライドは下記のURLから観ることができます。
とってもわかりやすいです。
http://www.slideshare.net/kurikiyo/ss-3214105

◆アジャイル開発とクラウドの親和性を感じる
次に印象に残ったのは、株式会社アピリオの山口さんのお話です。
私は不勉強であったために存じなかったのですが、このアピリオという会社は、エコポイントのシステムを通常では考えられない短納期で作り上げサービスを提供した会社、として有名だったそうです。
そもそもアピリオという会社は、クラウドを専門としたシステム構築のプロ集団だそうです。
山口さんのお話は、このエコポイントを構築した開発の内幕でした。

エコポイントシステムは、salesforceが提供している「Force.com」というクラウド環境のシステム構築のサービスとプロセスとして「アジャイル開発」を用いて構築されたそうです。
異例の短納期でサービス提供を行ったといわれるエコポイントのシステムですが、実は、すべての機能を提供するまでには16週間、つまり4ヶ月かかっています。
これは通常のシステムとたいして変わらない速度、と考えることができます。
異例の短納期といわれるのは、ユーザーが使用するエコポイントのポイントを申請するシステムが、開発から3週間後で提供され、主要な機能が6週間後に提供されているからです。

山口さんの講演でも、別の方の講演でも「Force.com」を実際に使用した開発の流れを見ましたが、圧倒的に「速さ」を感じました。
ビジネスアプリケーションに特化したフレームワークを用い、GUIを利用してコードの書く量を減らした開発は、ビジネスアプリケーションの開発において、相当な武器になる、という可能性を感じました。
「Force.com」を使用した開発の手軽さ、いいかえれば軽量性は、個々の開発者の開発能力をかなりの部分までスケールアウトしてしまう、のではないでしょうか。
そして、この開発能力がスケールアウトでき、さらに開発自体が軽量に行えるという点は、頻繁に開発し、テストをし、失敗を発見して修正する、というアジャイル開発の思想にとって、とても親和性があるように感じました。

じつは、栗原さん講演でも「クラウド」のひとつの性質として、’Fail Often’,’Fail Quick’,’Fail Cheap’という性質を上げていました。
クラウドにおいてインフラは、「頻繁に、すばやく、安く失敗する」ものになりえます。
アジャイル開発の思想がプロセスレベルにおけるものであるならば、クラウドはハードウェアレベルで、アジャイル開発の思想を体現するものだと思います。

プロセスのレベルとハードウェアのレベルと領域は異なるものの、アジャイル開発とクラウドが実現しようとしている価値は非常に似ており、しかも、特に「現場の変化に対応する」方法としても親和性の高いものであるように思えます。
山口さんのクラウドの環境とアジャイル開発を使用した開発の実例を聞いて、そのようなことを考えました。

しかし、変化に対応するには、クラウドやアジャイルだけじゃ足りないよね、というお話がどうやら2日目にあったようです。
それが、鈴木雄介さんの『これからのアーキテクチャを見通す』という講演です。
私は2日目に参加しなかったので聞けませんでしたが、プロセス、ハードウェアについで、アーキテクチャから変化へ対応するための提言です。
これはききたかったなぁ。
http://www.arclamp.jp/blog/archives/devsumi2010_architecture.html

◆楽しかった
デブサミに初参加しましたが、とても良い刺激になりました。
こうしたコミュニティに参加して思うのは、「参加してなかったらこんなこと意識しないよなぁ」ということです。
たとえば、KVS、並列アルゴリズム、NonSQL、OSGiなどの考え方は、このコミュニティに参加しても、ちょっとわかったような気になれる程度です。
でも「知らない」ということを知ることができます。
しかし、コミュニティに参加していなければ、それらの存在を意識することもありませんし、「知らない」ということも知らない状態です。
それってとても危険ことだと思います。

なによりも、新しい技術、コンセプト、サービスを真剣に考えている人たちが集まる場、というのはとてもエネルギッシュで楽しい。
というのは、真剣な人たちの情熱を話を通じて、もらうことができるからだと思います。
たしかに、ビジネスよりの自社サービスや製品の紹介、のような講演もあるかもしれません。
でも、その人たちがビジネスという点で真剣だからその話を聞いていると、勉強になるし、楽しい。

参加して、本当に良かったです。

個人的には、並列アルゴリズムとOSGiにとっても興味を持ちました。
学ぶことがまた増えました。が、学びの可能性が多いのはよいことですよね。たぶん。。。

【イベント情報】
◆「Developers Summit 2010 ※すでに終了しています。
http://codezine.jp/devsumi/2010

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