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原美術館でアラーキーとレイノーを楽しむ

9月 23, 2009

<原美術館はどこ?>

2009年9月20日(日)に、原美術館で開催されている「原美術館コレクション」展を観にいきました。
最近は秋めいてきたので、長袖で美術館に向かったのですが、少々、暑かったです。しかも、行き道で迷って、さらに暑く、つらい思いをしました。。

迷ってしまったきっかけは、JRの品川駅で下車して美術館に向かおうとしたことです。
原美術館の場所を調べたときに、「品川」という文字にだけ反応してしまい、JRの品川駅が最寄の駅だと思い込んでいました。
しかし、駅についてみると原美術館への案内がまったくでておらず、「おかしいな?」と思いはじめました。
結局、携帯電話で調べてみると、原美術館は京浜急行・北品川駅が最寄駅である、と判明しました。
そして、最寄り駅の北品川駅まで行けば、原美術館までの案内があるだろう、という考え、今度は北品川駅まで向かいました。

ところが歩けども歩けども、北品川駅は見えません。
北品川駅までは、南に向かってほぼ一直線。迷うことなどありえません。それなのに。
そろそろ歩き疲れ、不安になってきたときに、駅と思しき建物を発見しました。
その建物に近づいて確認すると、そこには「新馬場駅」の文字が。
??
とっくに、北品川駅を通り越してしまっていました。。。orz

来た道を慎重に戻ると、私の地元の駅の20年まえと同じような姿、小さな北品川駅を発見しました。
「品川」という大都会を代表する都市の名前を冠した駅が、よもや駄菓子屋さんのような小さな佇まいをしているとは思いませんでした。
しかし、迷ったとはいえ、目論見どおり駅前に地図が設置されており、原美術館までの道がわかりやすく示されていました。
結局、30分近く歩き回って、ようやく原美術館へ到着しました。

原美術館は、住宅街のなかのような、落ち着いた雰囲気にありました。
しかし、美術館へ入ったと同時に家族連れで音連れた人たち楽しそうな声、がちゃがちゃと食器の触れ合うカフェの音が聞こえてきました。
美術館は静かなものだ、というイメージがあったので、少々、びっくりしました。

私のように、美術館というと静謐というか、静かな雰囲気をイメージされる方も多いかと思います。
実際に、展示の場で携帯電話でしゃべることはご法度ですし、バイブレーションの音がなっても、周囲の人にしかめっ面をされてしまうこともあります。
たしかに、館内が人が多くて騒がしい、というときもあります。
しかし、その場合でも、大きな声で話して騒がしいというのではなく、鑑賞者が小声で話しあっている音が集まった、ざわつくような騒がしさです。
普段の生活で話すような大きさで話しながら鑑賞している人は、なかなか見かけません。

また、通常、どの美術館にもカフェはあります。
しかし、あれほど展示に近い場所にカフェがある場所は珍しいと思います。
というのは、展示とカフェの距離が、10mあるかないかぐらいしかはなれていないのです。
1階の廊下に展示されている作品を鑑賞しながら歩いていると、その先に小さな扉がみえてきます。
そこがカフェなのです。
そこからは、食器のぶつかる音やお客さんの笑い声がもれてきます。
同じ建物内や展示の途中にカフェがある、という美術館にはいったことがあります。
しかし、そのような施設は展示物とは厚い壁で仕切られたところにあるものです。
そのため、カフェの音が漏れてくることはありません。
かなりめずらしい作りだと思います。

私は1人で原美術館を訪ねたのですが、1人なのが寂しいと思うぐらいの活気に満ち溢れていました。
寂しがり屋の方は、1人では行かないほうがよいかもしれません。

<アラーキーさん、ごめんなさい。>
さて、展覧会です。
私の感じた印象は、「安定感があるな」というものです。
最近になって現代アートに興味を持ち始めた素人が、上から見たものの言い方で恐縮ですが、現代アートってこういうものだ、という教科書を見たような感じでした。
際立って「おもしろい!」と感じるものがなかったのですが、初めて現代アートを観にいく人を連れて行きたくなる展覧会でした。
初めての人が見ても「これが芸術!?(笑)」と馬鹿にされるでもなく、でも肩肘を張って鑑賞しなくてよい気軽さが伝わってくるような感じ。
家族連れで来場していた10歳ぐらいの少女も、作品を観て「スゴい発想だなぁ。」と笑いながら感想をもらしていました。
それだけ、わかりやすく親しみやすい展覧会だということだと思います。

肝心な作品ですが、私の印象に残ったのは、天才アラーキーこと荒木経惟さんの写真とジャン=ピエール・レイノーさんの『ゼロの空間』です。

荒木さん(以下は、アラーキーと書きます)の作品は、今回初めて生で拝見しました。
私は、作品を拝見するまで、この方を「単なるエロいおっさん」ぐらいに思っていました。
ごめんなさい。
というのは、私が中学か高校生ぐらいのとき、アラーキーが、出版した写真集が「猥褻物にあたる」というような、騒ぎがあったからです。
すでに世間を斜めに見ていた私は、アラーキーへ「芸術にかこつけてエロいことをやってんなぁ」という印象をもち、以来、作品を観るまでその印象を持ち続けていたわけです。

最初は、アラーキーの作品だとは知らず、縛られた女性のエロティックな写真、ゴムとび遊びをしている少女たちの風景の写真を観ていました。
女性の姿は妙にエロティックなのに、エロ本のような実用性(?)がない美しさがありました。
また、ゴムとび遊びをしている少女たちには、ゴムとび遊びの躍動的な場面がそのまま保管されており、少女たちの楽しんでいる感覚が伝わってくる感覚を受けました。
「すごい写真だなぁ」と思い、作家の名前を確認すると、そこには「荒木経惟」との文字が。
ビックリしました。

アラーキーは、私にとって、知ってはいたけれども知らないふりをしていた、無視をしていた写真家、芸術家だといえると思います。
今回、アラーキーにたいする変な思い込みなく作品を観て感心したことで、アラーキーとの新たな出会いができたと思います。
今後は偏見なく、もっと多くのアラーキーの作品を観たいと思います。

<レイノーさん、はじめまして。>
次は、ジャン=ピエール・レイノーさんの『ゼロの空間』についてです。
この作品は、 奇妙な静寂に1人で取り残される感覚、現実と非現実の境目にいるような感覚が体感できる作品です。

原美術館1階の賑やかな空間を離れて2階に上がるとすぐに、屋根裏部屋にあがるような小さな階段が目に入ります。
そのちょっと急で、小さな階段をあがってゆくと、『ゼロの空間』に入ることができます。
というより、他の部屋への入り口はありません。
入る、というだけに『ゼロの空間』は、ドローイングでも立体の展示物でもありません。原美術館の『ゼロの空間』は小部屋です。

その小部屋は、すべて白いタイルで覆われています。
その空間に足を踏み入れるまでは、なんともつまらない、奇をてらっただけの空間にしか見えません。
しかし、足を踏み入れるとその印象が一変しました。
視覚の効果からか、平衡感覚が失われます。
1度か2度、気温がすぅっと下がったような寒気。
急に自分のいる空間が心もとないような感覚に襲われ、おもわず両手を壁につき、両足を踏ん張ってしまいました。
また、外界の音が遮断されたように、すっかり1人きりの空間にとらわれてしまいました。
奇妙な空間、異次元に入るような感覚は、なんともいいがたいものがあります。
『ゼロの空間』は、そんな体感的な作品です。

ただ、この感覚は、1人だから味わうことができたのではないかと思います。
他の人と一緒だと、その人が現実のつながりを感じさせてしまい、『ゼロの空間』の奇妙な空間、異次元的な感覚が味わえないかもしれません。
もしかしたら、空間とあいまって1人だけで美術館に来た孤独を感じてしまったのかもしれませんが。

<最後に>
展覧会ではこのほかにも、奈良美智さんのアトリエを再現した展示なども見ることができます。
特に、現代アートは観たことがない、という方は、ぜひ観にいってみてください。
現代アートの型にはまらない表現の面白さを知ることができるはずです。
個人的は、今度は友人といってカフェでゆっくりしたいなぁ、と思います。

<会場情報>
原美術館
〒 140-0001 東京都品川区北品川4-7-25
TEL 03-3445-0651
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

<作家情報>
◆荒木経惟(あらき・のぶよし)さん
天才アラーキー。
作品を観るまでは、エロいおっさんぐらいに思ってました。ごめんなさい。

以下で、作品などが見られます。
・荒木経惟オフィシャルサイト
http://www.arakinobuyoshi.com/main.html

◆ジャン=ピエール・レイノー(Jean-Pierre Raynaud)さん
フランスを代表する現代アーティスト。
園芸家を目指すもその道を断念し、1962年から制作活動を開始しました。
床や天井などを白いタイルで覆った自宅に住み、その後、自ら解体したことでも有名で、
一連の模様は「ジャン=ピエール・レイノーの家」として映画化されています。

以下、略歴が見られます。
・ART FRONT GALLERY-略歴
http://www.artfront.co.jp/jp/hsg/summary_reynaud.html

<次の予定>
◆「neonoe」展
・高橋コレクション日比谷
〒 100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井ビルディング 1階
TEL 03-6206-1890
http://takahashi-collection.com/

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