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システム開発におけるデザインの重要さについて考える

4月 30, 2010

デザイン、という言葉を聞くと、あるモノののカタチをつくる、というイメージを抱きがちです。
たとえば、フェラーリのような官能的な車のカタチ。
たとえば、イームズのような研ぎ澄まされたデスクや椅子のカタチ。
たとえば、アルマーニのようなシンプルなスーツのカタチ。

確かに、デザインにとって、モノのカタチをつくる、ということは大切なことです。
上記のブランドは、まずは見た目、カタチ、いでたちの美しさから人を引き付けます。
まずは、魅力的なカタチによって人を引き付け、つぎに製品に触れてもらい、そのものが本来の役割、機能においても高い魅力をもっていることを知らしめます。

昨今、おおくの話題を振りまいているAppleの製品も同じように思えます。
iPodやiPhoneのカタチを思い出してみると、非常に洗練されています。
手になじみやすいカタチ。
丸みのある可愛らしいカタチ。
そもそも持ち運びやすい小ささというカタチ。
カタチによってiPodやiPhoneは、魅力的なモノになっており、人々を引き付けています。
そして、その製品がもっている機能の魅力を知らせること多くの人たちに成功し、愛されています。

現在、iPodやiPhoneは世界を変えた、といわれます。
ですが、製品のカタチだけで、世界を変えた、といわれているわけではありません。
世界を変えたというのは、iPodやiPhoneのカタチだけではなく、iTunesやAppStoreなどのサービスを含めて言われることです。
iTunesやAppStoreで曲を作る人と曲を聴く人、アプリケーションをつくる人と使う人の数を増やすと共に、その距離を近づけた、ということに世界を変えた、といわれるゆえんがあります。

特に大きな変化は、多くの人たちが、自身の才能を発信するという手段を手に入れた、ということです。

それまでは、世界の片隅で曲をつくっても有名になるには、レコード会社と契約しなけばなりませんでした。
また、アプリケーションを作っても発表し販売するには、会社を興すしかありませんでした。

それが、iTunesやAppStoreを使うことで、これらのことを簡単できるようになりました。
そして、それを使う人とたちも、きわめて安価にそれを購入し、使うことできるようになりました。
つまり、音楽やアプリケーションと人々との関わり方を変えたことこそが、世界を変えた、という意味なのです。
音楽を使う、というのは適切な表現ではないですが。

フェラーリやイームズ、アルマーニやAppleというブランドの成功は、カタチの巧みさにだけでなく、車や家具、スーツや音楽、アプリケーションと人々との関係性を良くした、という点にあると思うのです。
デザインというのは、カタチだけではなく、こうした人と何かモノやコトとの関係をつくりかげる仕掛けや仕組みを作りあげることなのではないか、と思うのです。
もっといえば、そのもの単体の価値ではなく、モノやコトの周辺を巻き込んだ価値を創造すること、なのではないかと思うのです。

2010/4/29(木)に、「日本のデザイン 2010」展(以下、「日本のデザイン」展、といいます)と「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展(以下、「ポスト・フォッシル」展、といいます)という2つの展覧会でも、それらを意識させられました。
たとえば、「日本のデザイン」展では、
・地域とデザイン
というテーマで、建築家の曽我部昌史により、デザインが語られていました。
これはまさに、「地域」というコレ、ソレ、とは指し示すことのできない、カタチのないモノを、デザインしようとする企てです。
地域というのですから、
そこに住まう人たち、
住まう人たちの生活、
住まう人たちの生活に関わる自然や経済、
住まう人たちの生活に関わる自然や経済とのかかわりから生まれる雰囲気、
こうした全てのモノやコトを良くしてゆく、つまり、それらを作り出す要素の関係性を良くすることが必要になるはずです。

また、「ポスト・フォッシル」展での、次代のデザインを担う才能たちが生み出した家具なども、モノとモノとの境界や関係性を意識している作品が多かったように思います。

マルーゼセバスティアーンの『浮遊する衣服』、
フース・ファンレーウェンの『ドメスティック・アニマルズ』シリーズ、
ピケ・ベルグマンスの椅子やバスケット、

といった作品は、素材がむき出しで、外見は溶け出したり、崩れていたりしています。
そのカタチは、異彩を放ち、個性を際立たせているようですが、実のところ作品と作品の周りの空間と分かれ目が曖昧になっているようにも見えます。
また素材がむき出しのままの作品は、自然の気配を漂わせています。
ポスト・フォッシル(石油)というテーマからすると、自らの作品と自然との関連を意識していると思われます。

あるモノとコトの関係性、その関係を新しく良くすること、ポスト・フォッシルといわれるデザイナーたちは、自然など中心にそれを行おうとしているようにおもえるのです。

翻って考えると、ITが生み出すシステムと人との関係はどうでしょうか?
たとえば、何をシステムにまかせるか、というシステム境界はどうなるでしょうか?
そして、システムに仕事を任せた人は、その余暇で何をしているのでしょうか?
また、システムはどのようなカタチをしているでしょうか?
今はPCや携帯端末を物理的な境界としていますが、どのような境界をもってシステムと接しているでしょうか?
たとえば、ディスプレイは中に浮いているでしょうか?
データの入力には、キーボードを使っているでしょうか?

このようなことを考えると、受託システム開発においても、システムと人との関係性、関わり方を意識することが必要になってきます。
というのは、現代の仕事は人とシステムの対話によってすすめられているからです。
システムを通じて人はデータを入力し、システムによって情報を加工し、システムを通じて情報を引き出し、それをもとに人と会話したり、ものを作り出して、仕事を進めています。

人とシステムの役割がちぐはぐなシステム、人とシステムとが関わる場所や方法が誤っているシステム、こうしたシステムをつくることは、そこで働く人たちに悪影響を与えます。
その逆であれば、人とシステムが良い関係を保ちながら、仕事を進めてゆくことができるのです。

システムエンジニアは、ハードウェアやシステムを制御するだけが仕事ではありません。
人とシステムがどのような関係性を築くべきか、という全体を見通して、デザインすることも仕事の1つなのです。

【会場情報】
◆東京ミッドタウン_DESIGN HUB-「日本のデザイン 2010」展
http://www.designhub.jp/
◆TAB-「日本のデザイン 2010」展
http://www.tokyoartbeat.com/event/2010/6651

◆21_21 DESIGN SIGHT-「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展
http://www.2121designsight.jp/
◆TAB-「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展
http://www.tokyoartbeat.com/event/2010/E311

【次の予定】
◆上野の森美術館-上野の森美術館大賞展
http://www.ueno-mori.org/taisho.html
◆TAB-「第28回 上野の森美術館大賞展」
http://www.tokyoartbeat.com/event/2010/5AF9

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